葬礼歴史博物館

一条真也です。

アンニョンハセヨ! 韓国に来ています。
今日は帰国する日です。訪韓ミッションの最終日です。
各自でチェックアウトして、7時20分にホテルのロビーに集合しました。


これが葬礼歴史博物館だ!!

故イム・ズン氏の長男と未亡人

博物館前の庭園のようす



まず、わたしたちは、葬礼歴史博物館に向かいました。
毎日アクシデント続きのバスでしたが、今日もやってくれました。
ガソリンスタンドでユーターンに失敗して、スタンドの建物の一部を破壊したのです。
これで初日以来、4日連続で何かしら楽しませてくれたことになります。
さて葬礼歴史博物館ですが、わたしは5年程前に訪問したことがあります。
博物館は、サンポ・シルバー・ドリームという大手葬儀社が運営しています。
同社のオーナーはイム・ズン氏という大学の特任教授で、風水や家庭儀礼などの著書も7冊ある方でした。韓国の葬儀業界における最高のオピニオン・リーダーであり、カリスマでしたが、残念ながら5年前に亡くなられました。
今日は、オーナー未亡人と長男の方が出迎えてくれました。


さまざまな葬儀に関する展示物が・・・・・

ヨーロッパのカタコンベ

チベットの鳥葬

エジプトのミイラ


「死」と「葬」の文化について葬礼歴史博物館は2005年にオープンしましたが、なかなか正式な博物館として国が認めてくれませんでした。
それが今年になってようやく許可が下り、グランド・オープンする運びとなったようです。
博物館は2階建で、1階は世界の葬儀文化、2階は韓国の葬儀文化についての展示を行っています。その他にアフリカ館もあります。
まず1階には、ヨーロッパのカタコンベチベットの鳥葬、エジプトのミイラをはじめとして世界各地を代表する葬儀文化が展示されていました。


70年代の日本の霊柩車も・・・・・



日本関係では、宮型の霊柩車などが置かれていました。
70年代のクラウンを改造した霊柩車です。
ミッションの一行も、これには興味を示していました。


2階では、韓国の葬儀文化が展示されています

貴重な儒教の葬礼書

1800年の葬儀パレードを再現

3000体の人形による絢爛豪華な葬礼絵巻!



2階に上がると、より博物館らしい雰囲気で、韓国の葬儀文化が展示されています。
『四禮便覧』や『喪禮備要』などの貴重な儒教の葬礼書もあります。
しかし、なんといっても、最大の見せ場は朝鮮時代の葬列を再現したジオラマでしょう。
1800年頃の葬列で、重要人物が亡くなると5ヵ月後に葬儀のパレードが行われました。なんと総勢3000人で、3泊4日のパレードだったそうです。
ここでは、3000人すべての役割分担を忠実に再現しています。


乗り物シリーズの棺

生き物シリーズの棺



またアフリカ館では、入ってすぐの空間に世にも珍しい棺が並べられています。
高級車、飛行機、船の形をした棺もあります。
おそらく、あの世という別世界に行くことを旅であると見立てたのでしょう。
この世の乗り物に乗って、あの世に旅立つというわけです。
また、魚や蟹やワシやライオンといった動物の棺もありました。
これはアニミズムの一種であるとも考えられます。
さらに、ライオンなどの力のある存在を信仰する部分もあるようです。


最後に、博物館についての説明を受けました



博物館を見学した後は、会議室のような部屋で葬礼歴史博物館の理念と沿革について説明を受けました。もともと、この博物館は「葬儀」をテーマとしていることから、近隣住民から「迷惑施設」であるとの偏見で反対運動を受けていたそうです。それをイム氏が「迷惑施設ではなく文化施設、ひいては福祉施設である」とのメッセージを粘り強く訴え続け、ようやく開館にこぎつけたのです。
最後に、「世界の葬儀文化に寄与したい」というイム氏のご長男の力強い言葉を聞いて、わたしは心の底から感動しました。
博物館の展示品も素晴らしいですが、それ以上に「葬儀こそ文化であり、その重要性を万人に知らしめたい」という志の高さが素晴らしい。
わたしは、韓国に天下布礼の同志を見つけた思いです。



なお、今回のミッションのメンバーである国立民俗歴史博物館の山田准教授によれば、世界中にこのような葬儀博物館が存在しているそうです。
なんでも、まったく存在しないのは日本だけだとか。
各国の博物館は、人々に「死」の教育を行い、「葬儀」の重要性を示しています。
このような施設がないから、日本では「葬式は、要らない」のような妄言が出てきたのかもしれません。わたしは、いつの日か、ぜひ日本にも葬儀博物館を作るお手伝いをしたいと心から思いました。
その先駆けとして、国立民俗歴史博物館では今年から「葬儀」についての展示コーナーを開設するそうです。それは、楽しみですね! 
完成の暁には、ぜひ国立民俗歴史博物館を訪れたいと思います。


2012年4月27日 一条真也


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